音楽史博物館へ!& 最近の出来事
音楽史博物館へ行ってきた
Sziasztok!
天気の良いとある日。ブダ王宮の近くにある音楽史博物館へ行ってきました。
見どころ満載だったのでかなり長い記事になる予感…
△王宮の地図。見どころたくさんあって訪れるたびにワクワクする場所です!
△18日からブダペストで世界水泳選手権2022が始まり街は盛り上がりを見せています。
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音楽史博物館へ!
ここでは貴重な楽器や資料の数々が展示され、ハンガリー音楽史を学ぶことができます。※期間によって展示内容は異なるそう。
“Zenetörténeti Múzeum
(Museum of Music History)”
📍1014 Táncsics Mihály utca 7, Budapest
入場料は大人1,000HUF、学生500HUF。
△赤の垂れ幕が目印。
マーチャーシュ教会の近く、ターンチチ・ミハーイ通りをまっすぐ行くと旗が掲揚された門が現れます。
博物館はこの門の奥にあるので、一見普通の建物かと思って素通りしてしまいそうです。
ちなみにここはかつてベートーヴェンも住んでいた建物だそう。
△以前ブダ王宮通りを歩いていた時に見つけた、旧ブダ劇場でベートーヴェンが演奏会をおこなったというレリーフ。その時に宿泊したのかも?
チケット売り場は入ってすぐ右手のお部屋にあります。カードは使えないのでご注意。
△ホールの扉に貼られたコダーイとハンガリー音楽史研究家のベンツェ・サボルチ。
今日は残念ながら開いていませんでした…
△館内図。突き当たりまで閲覧したらまた戻ってくる感じです。
△本日の展示内容。
チケットを受け取り、いざ中へ!
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ここは1923年に設立されたハンガリーのサスヴァールのピアノ工房の再現した展示だそう。ピアノをメンテナンス・修理するための道具や部品、工房の歴史を物語る資料などがありました。
△親子三代にわたって工房は受けつがれ、100年の歴史を持つ。
△ピアノに使われる部品の数々。こんなにもたくさんの細やかな部品から成っているのだと改めて驚きました…
△ピアノ製作の過程。これは低音弦の巻線でしょうか。
△この木の板はなんだろう…
△金属を加熱するためのコンロ?
こちらのブースにはメダルやバッヂの展示がありました。
△多くのハンガリー音楽家たちの横顔が彫られたコインが見られます。
お次のブースへ。
ここは1番広い展示室で、さまざまな楽器が展示されていました。特に鍵盤楽器の進化の変遷が見られてとても勉強になります!
展示品をいくつかご紹介♪
1770年、Ferenc Szabóによるポジティブオルガン。(移動式オルガン)エゲルで製作。
△キャンドルホルダー。
△木製のパイプが突き出ています。
1979年製、Johannes MORLEYによるクラヴィコード。ロンドンで製作。
非常に静かな音が特徴で個人で使用するのに適している。14世紀ごろに発明され、18世紀頃までそのやさしく豊かな音色から多くの人々に愛されてきた。タッチの強弱で音色をコントロールすることができる。タンジェントという小さな金具で弦を突き上げることで発音する。
こちらは18世紀ごろ、ドイツ領で製作されたクラヴィコード。長方形箱型のクラヴィコードは卓上において使用します。
18世紀末の頃のスクエア・ピアノ。ハンガリー語でアスタルゾンゴラ。(直訳すると机ピアノ。蓋を閉じれば家財道具としても使える!?)
クラヴィコードの流れを継承し、イギリスでスクエア・ピアノが誕生。クラヴィコードと似た構造だがハンマーアクションを持つようになる。モーツァルトやベートーヴェンはアントン・ヴァルター製のスクエアピアノを好んだ。
こちらで展示されているのはウィーン式アクションだそう。(ジルバーマンのピアノメカニズム)
1844年製のJean=Henri PAPEによるアップライトピアノ(コンソールピアノ)。パリで製作。ハンガリー語、ドイツ語ではピアニーノという。
パップはプレイエルの弟子。アンダーダンピングアクションが採用されている。(ダンパーがハンマーの下に配置される構造)
1844年ウィーンで製作されたアップライトピアノ。譜面台のアラベスク柄の装飾が美しいです。
△製作者CasparLORENZのフレームが鍵盤蓋に付けられている。
美しい白色のこちらのピアノはベーゼンドルファーからヴァイオリニストのJenő Hubay(イェネー・フバイ)に贈られたもの。ドナウのほとりにあるフバイの自宅に置かれ、50年近く使われたそうです。
△ピアノ脚には豪華絢爛な装飾が施されている。ペダル柱は竪琴のような美しいデザイン!
鍵盤がカーブした面白い形のこちらのピアノはDohnányi Ernő(ドホナーニ・エルネー)が使用したものだそう!
腕を広げすぎることなく、高音部や低音部が弾きやすいよう合理性を追求した結果この形になったのだろうか…カーブしたピアノの形って近未来的でちょっとカッコイイ。
△ピアノの内部と突上棒と楽譜台の丸い部分はランプ置き場。
ハンガリーのピアノメーカー、Beregszászyのグランドピアノ。1870年製。
△現在普及されているピアノのほとんどは交差弦ですが、中を覗いてみると珍しい平行弦。音の聴こえ方はどう違うのでしょうか。交差弦よりもクリアな響きなのかな?
1856-57年製、エラールのグランドピアノ。ショパンが愛用したメーカーの一つとして有名ですが、リストも当時の最高の楽器と評しよく好んで愛用したそう。
△こちらも平行弦です。
1904年製、イバッハ社の指揮者用のアップライトピアノ。1900年〜1927年にかけてこの指揮者用アップライトピアノは75台製作された。こちらは実際にオペラ座で使われていたそうです。
△ペダルは1本。
こちらのスクエア・ピアノは触って良さそうだったので、館内の方に聞いてから試弾させていただきました!鍵盤が軽くて少し怖かったので優しく触れるようなタッチで…
△ピアノの内部とペダル部分。
ハンガリーの民族楽器も!
ツィンバロン。Vencel József Schundaによって19世紀にブダペストで製作。
英語名ではダルシマーといい、ラテン語の「dulce melos …甘美な響き」が由来だとされる。金属製の弦をバチで叩いて発音させるので「ピアノの祖先」とも。
ダルシマー音楽は世界中で広がっていきましたが、ハンガリーでは特に目覚ましい発展を遂げたようで、楽器自体も大きく複雑な作りになっていったそうです。
△ツィンバロンの上には写真が。
立っているのは左から、指揮者のJ. リヒター、音楽院の書記のK. アブラーニ、指揮者のG. エルケル、この楽器製作者のV.J. シェーンダ、ヴァイオリニスト兼指揮者のK. フーベル、オペラ座館長のS. エルケル。
座っているのは左から、F. リスト、ジプシー音楽家のP. ピンテール、F. エルケル。
錚々たるメンツです。
こちらもハンガリーの民族楽器タロガトー。ハンガリー独立運動の際に使用され、自由の象徴とされた楽器です。
右は19世紀ごろに製作されたタロガトー(ダブルリード・ショーム…オーボエの祖先の木管楽器)、左が20世紀初頭Stowasser János社によるキー付きタロガトー。
今回は書ききれませんでしたが、弦管打楽器などの展示も豊富にありました。
19世紀初頭にフランスで製作された六重奏用の譜面台。
中央にある丸い台座はランプや蝋燭を置くためのもの。譜面台は開閉ができるそうで、家具としても機能するのだとか。
使用木材は内側はウォールナット、外側はマホガニー、ニオイヒバ(ヒノキの一種)。表面には金箔や金属の装飾が施されている。
絵画や楽譜の展示も面白かった!
△展示室の奥にある大きな絵画、こちらはIROLY Sándor作、『天才 エルケル・フェレンツ』。
左下のリュートを弾く老吟遊詩人はエルケルの音楽の礎となったハンガリー古来の伝統、右下のオーケストラからエルケルの才能を表した女性が現れ、エルケルは机の前で作曲に没頭している。右上にはエルケル作曲のオペラ《バーンク・バーン》に出てくるメリンダとバーンクの姿が見える。
△オペラ座とアンドラーシ通り。
△トラベラーズコートを着たリスト。
△F. リスト《ハンガリー狂詩曲第16番》の表紙。
△F. リスト《ペテーフィの追悼に》の表紙。
△F. リスト《訓辞とハンガリー国家:賛称》の表紙。B. エグレッシとF. エルケルの2曲のピアノトランスクリプション。
△F. リスト《ハンガリー王の歌》の直筆符。
博物館内にはパソコンが置いてあり、ここに展示されている楽器の音色を聴くことが出来ました。
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続いてのブースへ。(まだまだ続きます)
ここはまだ準備中…弦楽器の特集展示だろうか?
さらに奥へ進むと、ハンガリーの作曲家、民族音楽学者、音楽教育者、指揮者のLajtha László(ライタ・ラースロー)の書斎を再現した展示がありました。
彼はB. バルトークやZ. コダーイと共にハンガリー民謡の研究をおこないました。
アコーディオン楽器史の展示。
突き当たりのお部屋に行くと、P. ピラートとP. サーランスキーのヴァイオリン製作工房の展示も見られました。
△可愛い天使を発見✨
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まだまだ展示はたくさんありますが紹介しきれないのでこの辺で…!
いろいろ見ることができて楽しかった〜!
おまけ①
音楽史博物館へ向かう道中に見つけた色々。
王宮の端にあるウィーン門。オスマン帝国からの解放250周年を記念して造られました。上にも登ることができます。
△ウィーン門からの展望。
ウィーン門のすぐ近くにある国立公文書館。ジョルナイ製の屋根が美しいです。
ハンガリーの偉人たちのサインが書かれた地面を発見!
△バルトークのサインを見つけました。
おまけ②
音楽史博物館の近くにある刺繍屋がとても素敵だったのでご紹介♪
“Vörös Sün Kft.”
📍Budapest, Táncsics Mihály u. 2, 1014
△店内には美しいカロチャ刺繍がずらり。
お土産に何点か購入しました。
他にも、パプリカパウダーやラベンダーの香り袋なども売っていました。Deák Ferenc térにもお土産屋はありますが、ここのお店では他ではあまり売られていないカロチャ刺繍が手に入るのでおすすめです。
△マーチャーシュ教会✨
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最近の出来事
英雄広場にある西洋史美術館、現代美術館、ブダ城内にある国立美術館へ行ってきました。
宗教画や彫刻、陶芸、モダンアート…いろんな時代、様式、分野の素敵なアートを見ることができました。
△英雄広場へ行くと、左手に西洋史美術館、右手に現代美術館があります。
・西洋史技術館(Szépművészeti Múzeum)
主に貴族の美術収集品が中心となって展示されている。有名なマルガリータの絵画も見られました。(緑のドレスの方)
△敷地がとても広くて全部見るのに半日ほどかかった…
△貴重な教会の祭壇の展示。
△素晴らしい内装。
△顔のある壺が可愛かった。笑
・現代美術館(Műcsarnok アートホール)
現在外装工事中でしたが中に入ることができました。西洋史美術館ほど広すぎずまわりやすかったです。
△素敵な内観。
△Borza Teréz kiállítása氏による”“A fény metamorfózisa (光のメタモルフォーゼ) ”
現代アートの展示を見ました。
・国立美術館(Magyar Nemzeti Galeria[Hungarian National Gallery])
王家の美術収集品が主に展示されている。ブダ王宮の印象的な青銅屋根の建物の中に美術館があります。
△ペスト側から見たブダ王宮。
△ハンガリーのモナ・リザと言われる、シニェイ・メルシェ・パール作《紫のドレスの婦人》を見ることができました。
△Múzeumok Éjszakája(ロングナイト・オブ・ミュージアム)のイベントが行われているようです。期間限定で、ハンガリー国内の博物館・美術館などの文化施設が開いたまま夜の時間帯も観れるのだそう。完全にナイト・ミュージアムの世界…
△壁一面に並べられた絵画の数々。
絵画を見ていく中で、昔の人々の暮らし、伝統文化、歴史的風景などを知ることができたり、色彩感や画風の違いを見ることができたり、とても面白かったです。
△美術館で見つけた音楽家たち。リストとシューベルト。
△最上階へ行くと、このような素晴らしいパノラマを見ることができます。
ドナウに浮かぶマルギット島と国会議事堂が見えました。
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25日には角野隼人さんのコンサートを聴きにペシュト県にある小さな町、ポマーズへ。
Teleki-Wattay Castleというお城の庭園の野外ステージでの公演です。
実はこの日、悪天候で開催が危ぶまれていたのですが、公演前に無事空が晴れて予定通りの開催となりました。よかった〜
△素敵なお城の庭園からの眺め。
〜今回のプログラム〜
W.A Mozart / Symphony No.40 in G minor K.550
S. Rachmaninov / Piano Concerto No.2
Bravo!!
ピアノとオケの音色が、開放的な空間の中で溶け合って消えていく感覚がとても心地よかったです。スカイブルーから山吹色、ピンク、藍色と移ろっていく空がいい演出となり、とても贅沢な時間でした。
△実は公演前のサウンドチェックで誰か弾きたい人はいないかという流れになり、ちょこっと弾かせていただきました。野外で演奏する経験が初めてでしたが、上質なピアノを弾くことができ、観客の方からも温かい拍手と声援をいただけたので嬉しかったです!
△サインをいただきました♪
このお城の中にある世界的なハンガリアンピアニスト、アダム・ジョージ氏のお部屋にも案内していただきました。なぜか唐突にピアノの弾き合い会が始まり、角野さんとも連弾をすることに!
本当に楽しい時間でした✨
△記念にツーショット📸
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△最近ドナウ川沿いの遊歩道が工事されてさらに美しい景観になりました。夜景を眺めながらベンチに座ってボーっとするのが好きです。
素敵な方々との出会いや新しい経験、発見ばかりで刺激的な毎日です。
目まぐるしく過ごしておりますが、元気に日本へ帰られるよう引き続き体調には気を付けます。近況長めになってしまいましたが、今回はこの辺で!
to be continued…
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