リストの生家へ!ライディング&ショプロン
ハンガリーとオーストリアの国境へ。
Sziasztok!
今回も旅の記録です。
留学中に必ず訪れたかった場所へ行くことができました。
F. リストの故郷であるブルゲンラント州北部の都市、Raiding(ライディング)です!
当時はまだハンガリー領で、Doborján(ドボルヤーン)という地名でした。
早速旅を振り返っていこうと思います✨
.
.
.
ライディングまでの道のりは茨の道!?
夜明け前、3時30頃。 辺りはまだ真っ暗です。今日のライディングでのコンサートがお昼からので早めに家を出ました。
トラムに乗ってKelenföld (ケレンフェルド駅)を目指します。
△夜明け前のドナウ川
KelenföldからGyőr(ジェール)で乗り換え。何気に初上陸の場所です。
Győrのクリスマーケットにも行ってみたいなぁ。
昔ながらの時刻表。パタパタと回転して表示が変わります。
ちょっと時間があったので駅の外に出てみました。
.
.
.
お次はSopron(ショプロン)で乗り換え。
今回利用するもはこちら。GySEV(ジェール・ショプロン・エーベンフルト鉄道)の“Ventus”。緑と黄色の車体がゴツくてカッコ良いです。
ここから直接タクシーでRaidingへ行くこともできるのですが、なるべく最寄りの駅に近づいてから行きたかったので再び乗り換えることに。(ライディングはかなり郊外にあるため、アクセスが不便なのです。タクシーかバスで行かなければならない。→バスは本数が少ないので必然的にタクシー…)
.
.
.
お次は最寄りのDeutschkreutz(ドイチクロイツ)へ!
だんだん目的地へ近づいてきました。
国境をここで跨ぐのでインターナショナルチケット売場へ行ったのですが、朝早かったのでまだ開いていませんでした。スタッフさんに尋ねたら車内で買えるとのこと。
電車に乗ると、コワモテの駅員さんが扉口すぐの所に立っていたので直接チケットを購入しました。(カード払いOK)
なんとか最寄り駅まで到着!
ここまでは順調だったのですが…
この駅、かなり田舎の駅という感じでてタクシー乗り場らしき場所が見つからず、かなり戸惑いました。
うろうろ探しているとそれらしき看板を発見。
△いろいろなタクシー会社の連絡先が貼られた掲示板。
勇気を振り絞ってかけてみたのですが、英語が通じず…汗
拙いドイツ語で話しかけるも相手がなにを言ってるのかわからず、駅舎にいた駅員さんに助けを求めました💦(ドイツ語を受講したのももう3年も前の話…)
タクシーはキャッシュオンリーだそうなので、ユーロ札を下ろすためにATMを教えてもらいました。
少し歩いたところにあるのですが、そこへ向かってみると駅員さんが電話で伝えてくださったのかタクシー運転手さんが待っていてくれていました。
親切な方で本当に助かりました泣
サングラスをかけたワイルドな運転手さんとワイルドなタクシー。(スピードもワイルドだった)
駅から10分ほどであっという間に目的地にたどり着きました。お値段は片道10ユーロ。
ついにライディングに到着!
タクシーの車内で撮ったライディングまでの道のり。
広大な畑を抜けると、こじんまりとした町が現れました。「ライディングの入り口にリスト像があるよ、ほらこれがリストだ。」と運転手さんが教えてくれました。
ここまで来るのに色々ありましたが、ついにライディングへ到着✨
タクシー運転手さんから名刺をもらい、また出る時に電話してねと言ってくれました。
緑豊かで空気が澄んでいて、とても静穏な場所です。それに建物が皆低くて空が広く感じます。
偉大な音楽家が過ごした土地に訪れることでわかる、時の流れ方、空気感、天候や香り、風景。それらを感じ取ることで少しでもその音楽家に近づけたような気がするのです。
リスト少年はこの場所でのびのびと暮らしていたのだろうなぁ…
入ってすぐにある広場にはリストの像が。
町を見守るように佇んでいました。
こちらにもリスト様。
催事でもあるのでしょうか。なにやら人だかりができています。
コンサートまで時間があるので散策。
リストハウスのすぐ隣、町の一角にあったPfarrkirche hl. Antonius von Padua という名の真っ白な壁のカトリック教会。中に入ると厳かで慈愛に満ちた空間がそこにはありました。
美しいステンドグラス。
後ろには木製枠のパイプオルガン。
教会の外に出てみると、先程集まっていた人々が吹奏楽団の行進と共に教会の方へ近づいてくるのが見えました。
なにが行われるのか見ていると、神父様が言葉を述べられた後、唐突に周りの人々が歌い出し合唱が始まったのです。青空の下で聞く神聖な音楽は私の心を癒し浄化させてくれました。(インスタグラムのストーリーズにてその時の映像が見られます)
あまりに幸せな時間で思わず感極まってしまった…
リスト音楽祭!
幸せな気持ちになったところで、コンサートの時間が近くなったのでホールの方へ移動します。
△Schafherden im Meierhof in Raiding, © LMB(リストハウスHPより)
正面入り口はこちら。
リストの生まれた家屋は、当時父アダムが仕えていたエステルハージ家の酪農場の管理棟があったところです。お父さんは羊の監督官だったのだそう。(エステルハージ公のオーケストラの団員でもあり、チェリストでもあった)
奥に進むと、日本語で「ようこそ」と書かれてあるウェルカムボードが!
とても嬉しい気持ちになりました。
左手には木漏れ日降り注ぐ小さな白い家、リストの生家が見えます。
そのお向かいには近代的な建物が。
今回音楽祭が行われる”Lisztzentrum Raiding ”は、1階建ての600の座席を持つホールで、この席数はライディングの人口とほぼ同じ数だそう。2006年に誕生したリスト音楽祭は、通常イースター、6月、10月、年末の年4回の時期に開催されます。
会場内の様子。
シューボックスタイプの開放的で暖かな木造ホールです。閑静な町の中で行われる音楽祭ですが、ホールには沢山の人が集まっていました!
〜本日のプログラム〜
“Beethoven and Liszt”
Orchester Wiener Akademie
Martin Haselbock, Leitung
Ludwig van Beethoven/ Andante cantabile aus dem Erzherzog-Trio B-Dur, op.97
Franz Liszt/ Festklange-symphonieshe Dichtung Nr.7, S101
-purse-…休憩。休符という意味もあるのですが全休符で記されているのが面白い笑
Ludwig van Beethoven/ 7. Sinfonie in A-Dur op.92
事前にサイトで調べて今日の公演を決めました。リストとベートーヴェンの贅沢プログラム。楽しみだ〜♪
.
.
.
Bravo!
とても幸せな時間でした。リストが生まれた地でリストの音楽と大好きなベト7が聴くことが出来て本当によかった。音響的にも素晴らしいホールでした。
コンサート会場の外。
駐車中にはたくさんのリスト様の旗が。
やはり車で来る方が多いようです。
さらに外へ出てみると見渡す限り一面の畑。本当にのどかな場所だなぁ…
.
.
.
お待ちかねのリストハウスへ
コンサート終演後、すぐにリストハウスへ。
リストが誕生してから1822年にウィーンへ一家が移住するまでの子供時代を過ごした家です。彼は強い故郷愛を持っており、度々ライディングに訪れていたそう。
記念にパチリ📸
家に続く小道には可愛らしいト音記号のペイントが♪
平家のこじんまりとした可愛らしい家です。
こんなお家に住んでみたい…
扉の上には1925年に州がリストに対する姿勢を示すために設置されたレリーフ。
写真にはありませんが右側の扉上にリストが70歳の頃、生家の除幕式に参加したときの記念レリーフが設置されています。
受付はホールのインフメーションセンターにあるのですが、私達は今日のコンサートに来てくれたから無料で入れてくれるとのこと!
右手奥を見るとリスト様が✨
後ろには生家であることのレリーフが掲げられています。
こちらのレリーフにはハンガリー狂詩曲第2番の冒頭の譜表が刻まれていました。
“この生家の所有者であったポール・エステルハージ博士によって1971年、不滅の音楽家の160回目の誕生日に際し州に捧げられた物であり、これを永久記念碑とする。”
オーディオ展示も充実していました。
さらに奥へと進んでいきます。
リストが生まれた当時、石と木の板で建てられたこの家は、6(4?)つの部屋、キッチン、倉庫、そして窓の前にある庭と長い廊下、ワインを搾るための小屋で構成されていたのだそう。
部屋に入るとまず目に飛び込んできたのが、リストが愛用したベーゼンドルファー。(Bösendorfer Wien)そして、リストの手らしき銅像がありました。
ペダルは2本。ハープのような形状がオシャレです。
手の像があるとついつい手をくらべてしまう…
その上には授与されたサーベルが展示されていました。
リストの子供達。
左から次女でワーグナーの妻のコジマ(前夫はハンス=フォン=ビューロー)、長女のブランディーヌ、長男ダニエル。(20歳で急死してしまいリストは大変心を痛めた)
△ワーグナーとコジマ。
祭服姿のリスト。神々しい佇まいです。
カソックの立襟も展示されてありました。
リストのデスマスク。
展示写真の数々。若い頃の写真は中々ありませんが、壮年期のリストは数多くの写真で見ることができます。他にもリストの家族や関係する人物の肖像画が展示されてありました。
それぞれのブースには、「誕生と背景」「ウィーンとパリの神童時代」「女性への愛」「神への愛」について書かれた4つの文献が置いてありました。お土産に持って帰ろう♪
入り口のノートにサインをしてきました。
リスト様の似顔絵を添えて。
.
.
.
リストハウスを後に、町をもう少し散策してみることに。
歩いていると奥の方に何かオブジェが見えます。あれはもしや…
大きな大きなベーゼンドルファー!
音は…鳴りませんでした笑
グランドピアノのオブジェはペダルまで忠実に造られていました。
なんと日本語の説明文も書いてありました。(他の言語に比べてだいぶ要約されているような気もするけど)日本の観光客が多いのでしょうか?
↓書いてあった文章
巨匠、リスト
フランツ・リストが最も愛用したピアノは「ベーゼンドルファー」。このメイピアノ・メーカーの二代目、ルドヴィック・ベーゼンドルファーとは親友となりました。
大きなベーゼンドルファーの前で写真大会が開催されたあと、リスト通り(Liszt Straße)へ。そこには閑静な住宅街が広がっていました。
住宅の壁に若かりし日のリスト様発見。
地図で見たらここはお土産屋さんのようでしたが、この日は残念ながら閉まっていました。
第一次、二次世界大戦の慰霊碑。
可愛らしい陶器製の表札。
ショプロンへ!
ライディングを後に、乗り換えで通ったショプロンへ戻ってきました。
この町はかなり歴史的に重要な地であり、リストのゆかりの地でもあります。
16〜17世紀のオスマン(トルコ)帝国の支配から逃れた数少ない都市であり、初期バロック形式やゴシック形式の建造物が多く残っているため中世の面影を感じることができます。
また、ハンガリーでは”忠実な街”と呼ばれており、第一次世界大戦後に行われたオーストリアに属するかの住民投票で、市長の「ハンガリーに留まるべきだ」という呼びかけに対し、市民が忠実に答えたことからそう呼ばれるようになったのだとか。
他にも、ベルリンの壁崩壊のきっかけを作った…とか歴史的にもかなり重要なポジションである街なのです。
旧市街地はそんなに広くないので、ゆったりと過ごすことができました。
駅から旧市街地まではそれほど遠くなく徒歩で10分ほどで到着。
中央広場にやって来ました。
まず目に入るのが旧市街地のシンボル的存在である「火の見の塔」。登ることもでき、夜は美しくライトアップされます。右の旗が掲げられている建物は市庁舎。
火の見の塔の門を潜り抜けると旧市街地の外へ出ることができます。
こちらは山羊教会。
山羊が掘り当てた埋蔵金を寄付して作られたことからこの名前になったのだそう。
お腹が空いたので火の見の塔の近くのレストランへ。
この建物の入り口付近にリストの記念レリーフが設置されてあるのを見つけました。
“リストが1840年と1881年に訪れた家。”
9歳の時にはポジョニ(現ブラチスラヴァ)とここショプロンで公演を行い、初めての成功を収めました。まさにリスト原点の地とも言えます。
“Corvinus Pizzéria, Étterem, és Vinotéka”
📍Sopron, Fő tér 8, 9400
夜空に満天の星が広がるようなデザインがとても素敵な店内です。
ハンガリー料理、Halászlé(ハラースレー、ハンガリー風魚介スープ)とご当地Soproniビールを注文。ハラースレーで使われるのは主にナマズや鯉などの淡水魚です。(今回は鯉)
同時にパンと辛いパプリカペーストの入った瓶が運ばれてきたので、スープに入れパンにつけて食べました。海水魚と違って淡水魚独特の風味を感じるな…
Soproniをショプロンで飲むという密かな願いが叶って嬉しかったです笑
.
.
.
ハンガリー料理に舌鼓を打った後は街をぶらぶら歩きました。
お土産でも買おうと思ったけど、夕方5時ごろにはほとんどのお店が閉まっていました。残念。(そもそも日曜日なので空いているお店が少ない)
精霊教会。
カルチャーセンターに併設されたLiszt Cafe。(先ほどのSOPRONのオブジェはこのお店の前にあった)
中央広場に続く素敵な通り。
暑くて買ってしまったアイスクリーム。
可愛い汽車型の車。
噴水広場を見つけたのでしばし休憩。
平和な時間が流れていきます。
寝そうになりながらも友人達となんとか写真撮影…笑
.
.
.
余韻に浸りながら帰路につきました。
ショプロンから南駅(DélI pályaudvar)へ。
色々な人に助けられ人の暖かさを感じた旅でした。
ウィーンやプラハのような華やかな都市の観光も、今回のような穏やかな旅も大好きです。また、国境沿いは歴史が複雑でこうして記事にしてまとめていく中で、とても良い勉強になりました。
ここまでお読みいただきありがとうございました。また次回の記事でお会いしましょう!
to be continued…
0コメント